わあ、虫だあ。
突然ですが、トンボエダシャクです。
これは尺取り虫を入れたかったので図鑑から一番きれいなのを選んだのですが、
実によくわからん奴で、ヒロオビトンボエダシャクとかいう派生種みたいな奴の方が
一般的にはよく知られるらしく、大抵こちらの方がよく出てきます。
名前が長くてしんどいのと、模様が綺麗なのでトンボエダシャクの方をテーマとしましたが、
結局色々調べてもよくわからず、なんだかよくわからないことになりました。
最後に紹介するのは、ほぼ唯一と考えてもよい、害虫ではないイモムシのカイコです。
こいつは猪が豚になったように、家畜化されて生まれたイモムシなんですが、
成虫はやたら太っていて飛ぶこともできず、食事すらできず死んでいきます。
そもそも絹糸を取るために繭を煮るので、大半はその羽化すら出来ずに死んでしまうわけで、
なんともまあ残念な一生を送ることになります。
彼らは、その恵みから人間達にとても大事にされているわけですが、
自由に飛び回る害虫たちと比べて、どちらが幸せなのかは考えさせられるところです。
さて、全五回にわたってお送りしてきましたイモムシコラムも今回で最終回となりました。
コラムを通じて、我々はただふざけてイモムシをテーマにしているのではなく、
本気でふざけているんだということが伝われば嬉しいです。
これまで様々なイモムシにまつわるエピソードを紹介してきて、
まだまだ書ききれなかったこともありますが、
このCDでは、そんな要素から連想した物語や場面を元に曲や歌詞が作られています。
イモムシが好きな人も、別に興味無い人も、
ぜひ「よく分かる!イモムシ」をお楽しみ頂ければ幸いです。
イモムシたちが生きる為に食べる植物は、農家にとって大事な商品です。
モンクロシャチホコが桜にとっての害虫であることはなんとなく想像できますが、
なんとあのアゲハチョウやモンシロチョウも害虫だそうです。
アゲハチョウには幼虫の姿が不気味なキアゲハという仲間がいます。
このキアゲハ、成虫になると皆も知っているあのアゲハチョウ(ナミアゲハ)とそっくりの姿になります。
逆に、クロアゲハの幼虫はナミアゲハとソックリなのに、成虫は全くの別物になります。
成虫と幼虫の違いもイモムシを楽しむポイントだと思います。
皆さんが今までに見た「アゲハチョウ」は、実はキアゲハだったのかもしれません。
第二回のコラムで「アゲハらしき蝶」と書いたのもそのためです。
害虫としては、キアゲハにセスジスズメ、ハスモンヨトウにハチノスツヅリガをよく聞きます。
それぞれ食草が違うので、人参農家はキアゲハを嫌っていたりとそれぞれ特徴があります。
ハスモンヨトウは夜盗と言うだけあって、夜間に農作物を食い荒らすイモムシですが、
これが何でも食べるので広く嫌われており、農家に見つかるとたちまち駆除されてしまう奴です。
このイモムシを混乱させて繁殖を防ぐ専用の駆除農薬まであるぐらいです。
ハチノスツヅリガは一般にはスムシとして知られ、養蜂家に嫌われています。
ある日、ミツバチの元気が無いと思って蜂の巣を確認すると乗っ取られていた、なんてことがあるようです。
蜂蜜をモリモリ食べたおかげか動きは俊敏でとても不気味とのこと。
しかし、蜂の子がそうであるように、このイモムシも大変美味だそうですが、ぼくは食べません。
これらのイモムシたちは害虫として、農家ではゴキブリよりも嫌われているそうです。
イモムシが大好きなんて人もあまり見掛けませんが、そこまで嫌われているというのも意外で、
ちょっと可哀想なところです。
イモムシとは蝶や蛾の幼虫である、とは前回書いたことですが、
そもそも何故「イモムシ」なんでしょうか?
愛読書のイモムシハンドブックによれば、
元々は里芋を食い荒らすセスジスズメなどのスズメガ科を指してイモムシと呼んだそうです。
それがやがて鱗翅目の幼虫全般を指す呼称になったという事でした。
また、このサイトのURLでも使っているイモムシの英訳「hornworm」のhormも
スズメガ科の幼虫に見られる尻尾を指しているらしく、
まさにイモムシの中のイモムシと言えるイモムシでイモムシ。
このセスジスズメ、食欲が旺盛で動きが速く、行動範囲も広いことから、
農家では大変嫌われているばかりかでなく、道路に出て潰れた姿もよく目撃されるらしい。
しかも食べた分だけトコロテン式に出てくる仕組みなのか、
ちょっとした小動物よりも巨大な糞を残していきます。とんだウンコ野郎です。
見た目も、せめて緑色でかわいらしい感じになってくれればいいものを、
黒くて不気味な姿で悪役感丸出しです。しかもサナギがウネウネ動く! 気持ち悪い!
でも動画で見たらちょっと可愛かったです。
ところでイモムシの謎と言えば、その生態にはまだ解明されていない謎も多いらしく。
最近、ムラサキシジミについての研究が発表されました。
シジミ科のイモムシは長年、蟻との共生関係にあると考えられてきましたが、
実はイモムシが一方的に蟻を操って支配下に置いていたというものです。
同じシジミ科には蟻の巣に進入して蟻と共生するフリをしながら
堂々と幼虫を食い荒らしたりするようなとんでもない奴もおり、
小さくてかわいらしいシジミチョウもなかなかしたたかに生きているようです。
こんな企画を立てたせいで、ついどこかにイモムシがいないか探してしまいました。
というわけで近所の街路樹や公園を散策したのですが、良いことと残念なことがありました。
良いことは、不審者として通報されることがなかったことです。
残念なことは、大都会東京ではイモムシと出会えなかったことです。
しかし蝶や蛾の成虫はよく目にしました。
イモムシとは蝶や蛾の幼虫を指し、蝶は蛾の中の一種という位置づけだそうです。
カブトムシの幼虫なんかもイモムシだと思っていたのですが、細かくは違うみたいです。
近所ではクロアゲハ、アオスジアゲハを頻繁に見掛けました。
そのほかアゲハらしき蝶やモンシロチョウ、小さくて識別できないシジミチョウと思えるもの、
ツマグロヒョウモンやヒカゲチョウ、オオスカシバなどとも出会うことができました。
彼らもどこかで幼虫時代を過ごしているはずで、東京にもイモムシは生きているのです。
そしてなんとここまで紹介した虫、全て今回のCDには未収録。
収録作ではコムラサキやルリタテハには市街地でも出会えるようです。
どこかで出会いたかったのですが、図鑑からのイメージでの楽曲制作となりました。
どちらも幼虫のインパクトが強く、成虫は可憐な蝶です。
成虫といえばモンクロシャチホコも写真で見る限りモコモコしていて凄く可愛い蛾になるようですが、
現実に出会う蛾はヒトリガかヨトウガの仲間みたいな奴ばかりでした。
イモムシの出会い系サイトがあればよかったですね。
いきなりですが、ぼくは大の虫嫌いです。
どれほど嫌いかと言うと、夜中に小腹が空いた時には虫画像を検索し、
その気持ち悪さで空腹を紛らわしているほどです。
ある日、空腹に耐えかねたぼくはつい「サクラケムシ」を画像検索してしまいました。
するとなんということでしょう、あの毛虫を食ってる画像が現れたのです。
オエーッ!と思いながらも興味本位でそのサイトを開いてみました。
虫は食える、という事は知っていましたし、海老やシャコと同じようなものだとは思っていました。 しかし、サクラケムシは桜の葉を食べて育つので、なんと桜餅のように甘くておいしいのだそうです。 正式にはモンクロシャチホコという名前であることもその時知りました。
「嫌い」とは興味があることだと盛口さんも仰っていたとおりで、
その生態で味が変わるなんてイモムシってちょっと面白いな、と興味を持ちました。
そんな面白いイモムシの世界の一端を紹介できればと思い、今回のCDを企画しました。
なお、今のところモンクロシャチホコを食べる気はありません。
アゲハシリーズ随一の禍々しいフォルム。セリ科が大好き。
イモムシの中でもハバチやカブトムシっぽい。蜂蜜味らしい。
よく分からないことがよく分かる。
闇のワゴン。何でも食べる。
葉桜に発生、よく落ちてくるわ潰れてるわで困った奴。フサフサしてる。
真っ黒な外観はいかにも悪魔。成虫は流線型でかっこいい。
イモムシ界屈指の可愛さ。
蟻の好物となる分泌液を出し、常に蟻に己を守らせているという。
見るからにヤバそうな奴。毒はない。
天の虫と書いて蚕。神様のおくりもの。